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囲繞
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いじょう
ふりがな文庫
“
囲繞
(
いじょう
)” の例文
旧字:
圍繞
それへ
油単
(
ゆたん
)
を上から冠せた、そういう人と馬とを
囲繞
(
いじょう
)
し、十数人の荒くれ男が、鉄砲、弓、槍などを担いで、護衛して歩いているからであった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
◯神の造り給いし万物に
囲繞
(
いじょう
)
されて我らは今既に神の
懐
(
ふところ
)
にある。我らは今神に
護
(
まも
)
られ、養われ、育てられつつある。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
これに
囲繞
(
いじょう
)
される生活が、人間の美意識を濁らせる事は当然です。天才が作るわずかなものが美しいとも、それによってこの世は美しくならないのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ほぼ等しい大山岳圏に
囲繞
(
いじょう
)
せられているから、北アルプスの高山で見るような、広々とした眺望は
獲
(
え
)
られない。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
或一事を行う度に生活の中心がその一事に移動して焦点を作り、他の万事は
縁暈
(
えんうん
)
としてそれを
囲繞
(
いじょう
)
している。
母性偏重を排す
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
そして、彼女の麗わしさを
囲繞
(
いじょう
)
し秘蔵しているように思われる
燐然
(
さんぜん
)
たる雰囲気の中に、最も微妙に想像された一
対
(
つい
)
の翼が浮んでいるのが、かろうじて見分けられた。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
太子
薨去
(
こうきょ
)
に対する万感をこめての痛惜やる方ない悲憤の余り、造顕せられた御像と拝察せられ、他の諸仏像とは全く違った精神雰囲気が御像を
囲繞
(
いじょう
)
しているのを感ずる。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
それが敵対と無理解とに
囲繞
(
いじょう
)
せられて、人に棄てられ殺される道であるとしても、よろしい、我は神の我に命じ給うた使命をば、神の定め給うた方法によって果たそう。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
しかし、ある種の人間を公平に批判するには、あらかじめ二、三の先入観念と、普通われわれを
囲繞
(
いじょう
)
している人や事物に対する日常の習慣を、捨ててかからなくちゃなりません。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そのお祖師様やお祖師様を
囲繞
(
いじょう
)
している大智識達の作ったこれらの句は、たしかに俳句の大道を指示したものとしてみることができるのであります。そこでこういう結論に到着します。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
貝島が敗残の一家を率いて、始めて其処へ移り住んだのは、或る年の五月の上旬で、その町を
囲繞
(
いじょう
)
する自然の風物が、一年中で最も美しい、最も光り輝やかしい、初夏の日の一日であった。
小さな王国
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
絶佳
(
ぜっか
)
明媚
(
めいび
)
の
山水
(
さんすい
)
、
粉壁朱欄
(
ふんぺきしゅらん
)
燦然
(
さんぜん
)
たる
宮闕
(
きゅうけつ
)
の
中
(
うち
)
、壮麗なる古代の装飾に
囲繞
(
いじょう
)
せられて、フランドル画中の婦女は皆
脂肪
(
あぶら
)
ぎりて
肌
(
はだ
)
白く血液に満ちて色赤く、おのが身の強健に堪へざる如く汗かけり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
支那に於ける税の費途
如何
(
いかん
)
というに、王者はこれを以て土木を興し、宮殿を営み、
奢侈
(
しゃし
)
を尽せば、その身辺を
囲繞
(
いじょう
)
する官僚はまたこれを以て土地を買い、貨殖を謀り、子孫のために身後の計をする。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
幽麗なる孟宗竹林に
囲繞
(
いじょう
)
せられたる竹籠作り讃岐ノ造麻呂の家。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
明治四十年頃からの漱石氏はますます創作に油が乗って来て、その門下に集まって来た三重吉、
豊隆
(
とよたか
)
、
草平
(
そうへい
)
、
臼川
(
きゅうせん
)
その他の人々に
囲繞
(
いじょう
)
せられて文壇に於ける陣容も整うて来た事になった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
“囲繞”の意味
《名詞》
回りを囲い廻らすこと。とりまくこと。
(出典:Wiktionary)
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
繞
漢検1級
部首:⽷
18画
“囲繞”で始まる語句
囲繞溝渠