こまり)” の例文
吟味ぎんみ致すに筋違すぢちがひとは如何なる儀にや此段承まはりたしと御老人らうじんにがり切たる有樣なれば將軍にも御當惑たうわくの體にてさすが名君のふくし見え給ひほとんど御こまりの御樣子にて太田主計頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつはまた百両の金の隠し場所にもこまり候故、そのまゝ引返し、とぼ/\と大門だいもんのあたりまでまいり候処、突然うしろより、モシ良乗殿りょうじょうどの、早朝より何処いずこへおでかと、声掛けられ、びっくり致し振返れば
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私によんどころない用事があって、此方こちらへ参って居る留守中に師匠が亡なりまして、皆さん方が態々わざ/\知らして下すって有難うございます、生憎あいにく死目しにめに逢いませんで、貴方がたも誠におこまりでございましょう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いや。どうもかう度々たび/\宿舎をお引受ではおこまりでせう。あはゝゝ。」
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
渡世にする新藤市之丞と申者のたくは御存じなきやととふに此町内には御用の屑買は御座らぬなどと云て大いにわらはれければ大橋もいま是非無ぜひなく尋厭倦たづねあぐみて下谷山崎町の我家へ歸りさても/\こまりし事也馬喰町へ行て表店おもてだな
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)