吸殻すひがら)” の例文
旧字:吸殼
はや谷川たにかはおとくと我身わがみ持余もてあまひる吸殻すひがら真逆まツさかさま投込なげこんで、みづひたしたらさぞいゝ心地こゝちであらうと思ふくらゐなんわたりかけてこはれたらそれなりけり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蘿月らげつしづか煙草たばこ吸殻すひがらをはたいて、たれにかぎらず若いうち兎角とかくに気の迷ふことがある。気の迷つてゐる時には、自分にもおぼえがあるが、親の意見もあだとしかきこえない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
其所そこには煙草の吸殻すひがらで穴だらけにされた粗大なテーブルと二三脚の無器用に出来た腰掛とが姿を見せてゐた。嘉吉は抱いて来た小脇の古新聞紙の包みを先づテーブルの上に置いて開き始めた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)