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吃驚
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びっく
ふりがな文庫
“
吃驚
(
びっく
)” の例文
「こんな事でもしなかったら、
彼奴
(
あいつ
)
は
吃驚
(
びっく
)
りしますまい。……だが
最
(
も
)
う私達は伊右衛門のことなど、これからは勘定に入れますまい」
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
吃驚
(
びっく
)
りしたようじゃありませんか。奥さんはまだそんな人に会った事がないんでしょう。世の中にはいろいろの人がありますからね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ザヴィエルは、この弥次郎という人間が、実にどうも誠心誠意キリストの教えを守るので、とても
吃驚
(
びっく
)
りしたのであります。
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
これはこれはと
吃驚
(
びっく
)
りさせられまして、とてもこれではと思いましたが、何をこれしきのことにと、雪の中をつっきって博物館に行ったことでした。
座右第一品
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
僕は
鍾馗
(
しょうき
)
につかまった小鬼のように
吃驚
(
びっく
)
りした。七郎丸はそのままオイオイと声を挙げて泣くのであった。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
あれは遠い丸の内、それでも天気のいい時には
吃驚
(
びっく
)
りするほど座敷の障子を
揺
(
ゆすぶ
)
る事さえある、されば、すぐ崖下に狐を
打殺
(
うちころ
)
す銃声は、如何に強く耳を貫くであろう。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時しゃりこうべは
吃驚
(
びっく
)
りして、あいつはいつも電燈の下に座っていた奴だなと思った。——あいつはこんなところへまで出て来ておれに又たせがむんだなと思った。
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
従妹
(
いとこ
)
一人は無頓着に独りで、あちこち波を
掻
(
か
)
き廻して居たが、あんまり早い一行の帰り仕度に
吃驚
(
びっく
)
りして波から上って来た。馬車が待たせてあった。長谷からH屋まで電車もある。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今から数年ももつと前であつたらう、福島コレクションでみた展覧会で見たユトリロは、その作品の制作方法の精神的段階が、あまりに日本的であつたので、私は
吃驚
(
びっく
)
りしたことがある。
小熊秀雄全集-19:美術論・画論
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
天丸左陣はこれを聞くと一時は少なからず
吃驚
(
びっく
)
りしたが、
咄嗟
(
とっさ
)
に思案の
臍
(
ほぞ
)
を決めると、部下の兵を引率して妙高山へ出張って行った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妾
(
あたし
)
説明を聞くまでは、きっと気が変になったんだと思って
吃驚
(
びっく
)
りしたわ。兄さんは後で
仏蘭西
(
フランス
)
の何とかいう人のやった実験だって教えてくれたのよ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの広い会場を一杯に占領しているのを見ますと私はただ見渡しただけで
吃驚
(
びっく
)
りさせられるばかりでした。
帝展の美人画
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
一喝をくふと
吃驚
(
びっく
)
りして、孔のあくほど正義派の会社員を瞶めてゐたが、やがてまるまるとした童顔が次第々々に歪んできて、快心の、然し甚だ人の悪い微笑の皺が
逃げたい心
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ほら、よく見ると黒い
目金
(
めがね
)
をかけているでしょう、だから初め目が見えないと思っていなかったので、突然、ハモニカを吹き出したのでわたし
吃驚
(
びっく
)
りしてしまったんです。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と、そのとたん、白烏、
恰々
(
こうこう
)
と啼くと空高く、道人の肩から舞い上がった。
吃驚
(
びっく
)
りしたのは道人である。「ほほう」と云うと振り仰いだ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多門がそう言ったとき、女はにわかに
吃驚
(
びっく
)
りしたような叫び声をあげて、すぐ逃げ出そうとするのでした。多門は多年
雇
(
やと
)
っている女が
何故
(
なぜ
)
自分の顔を怖そうにながめているのかと思って
ゆめの話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
先生は
吃驚
(
びっく
)
りなすって目をおそらしになるのであった。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
吃驚
(
びっく
)
りしたのは烏組のお紋、捕りかけた宗三郎をうっちゃって、突っ立ち上がった真正面から、姿は見えないが声がした。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おや」と鯱丸は
吃驚
(
びっく
)
りした。「向こうを向いている癖に、こっちのことが解ると見える。
背後
(
うしろ
)
に眼でもあるのかしら。小気味の悪い婆さんだよ」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それで恐らく
吃驚
(
びっく
)
りして、逃がしてしまうに相違ないよ。逃がせば蝶は帰って来よう。ああそうだよ、この山へな。で、そいつを待つことにしよう。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「女の子の寝言に
吃驚
(
びっく
)
りなすって、紙帳の隅へケシ飛んで行ったまま、お行儀よく、膝にお手を置いて、かしこまっておいでになるのですものねえ」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それは……」と青年は
吃驚
(
びっく
)
りするほど態度や声を
狼狽
(
うろたえ
)
させたが「どうも此処では申し上げられませんので……」
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女はハッと驚いたように、急に根方から立ち上がったが、その女の顔を見ると、今度は頼正が
吃驚
(
びっく
)
りした。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「何!」と云ったが小一郎は、かなり
吃驚
(
びっく
)
りしてしまった。「どうしてお前、そんなことを聞くのだ!」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二人の巫女は
吃驚
(
びっく
)
りした。ここは緩衝地帯であって、岩石人でも獣人でも、高尚を誇る麗人といえども、入り込むことは出来ないことに約束されてある土地だからであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(その桔梗屋へ放火した奴は、これここにいる三十郎なんだよ。——と云うことをズバリと云ったら、三十郎もこの田舎武士たちも、飛び上がって
吃驚
(
びっく
)
りすることだろうねえ)
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自分の叫び声に
吃驚
(
びっく
)
りして、自分で逃げ出すというわけさ。そこでお前さんに頼みがある。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「や、これは大きな火事だ」
吃驚
(
びっく
)
りしたように
呟
(
つぶや
)
いた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は
吃驚
(
びっく
)
りしながらも脱帽して守衛に礼を返した。
支那の思出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
で、私は
吃驚
(
びっく
)
りして、青年の顔を眺めました。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なんと
吃驚
(
びっく
)
り仰天かな?」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と男は
吃驚
(
びっく
)
りし
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“吃驚”の意味
《名詞》
吃 驚(きっきょう、きっけい, 当て字:びっくり)
驚くこと。
(出典:Wiktionary)
吃
漢検準1級
部首:⼝
6画
驚
常用漢字
中学
部首:⾺
22画
“吃驚”で始まる語句
吃驚仰天
吃驚敗亡