反古張ほごばり)” の例文
細目な雨戸の間から、反古張ほごばりの障子がわずかに見えてる。真黒にすすけた軒から、薄い薄いささやかな煙が、見えるか見えないかに流れ出ている。
新万葉物語 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かけめししる兼帶けんたいの樣子なり其外行燈あんどん反古張ほごばりの文字も分らぬ迄に黒み赤貝あかゞひあぶらつぎ燈心とうしんは僅に一本を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まいへもうしろへも廻る重宝ちょうほうな屏風で、反古張ほごばり行灯あんどんそば火鉢ひばちを置き、土の五徳ごとくふた後家ごけになってつまみの取れている土瓶どびんをかけ、番茶だか湯だかぐら/\煮立って居りまして
嬰児あかんぼてのひらの形して、ふちのめくれた穴が開いた——その穴から、件の板敷を、向うの反古張ほごばりの古壁へ突当つきあたって、ぎりりと曲って、直角に菎蒻色こんにゃくいろ干乾ひからびた階子壇……とおばかり
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嬰兒あかんぼてのひらかたちして、ふちのめくれたあないた——あなから、くだん板敷いたじきを、むかうの反古張ほごばり古壁ふるかべ突當つきあたつて、ぎりゝとまがつて、直角ちよくかく菎蒻色こんにやくいろ干乾ひからびた階子壇はしごだん……とをばかり
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)