勘次かんじ)” の例文
勘次かんじ利根川とねがは開鑿工事かいさくこうじつてた。あきころから土方どかた勸誘くわんいう大分だいぶうまはなしをされたので近村きんそんからも五六にん募集ぼしふおうじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「解りましたよ、親分、——浪人は井崎八郎いざきはちろう北国者ほっこくもので剣術も学問も大なまくらだが、押借おしがりの名人、遊び人の方は白狗しろいぬ勘次かんじという小博奕打こばくちうち、これも筋のよくねえ人間だ」
勘次かんじや、お前あの奥のお筆さんの処へついでに水を汲んでやんなよ、病人があるから定めし不自由だろう、何かおかずこしらえてやろうと思うが、手一つで親の看病をしながら内職をして居るので
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘次かんじはおしな病氣びやうきかゝつたのだといふのをいて萬一もしかといふ懸念けねんがぎつくりむねにこたへた。さうして反覆くりかへしてどんな鹽梅あんばいだといた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あっしと浜名屋の又次郎と、権助と、染物屋の勘次かんじと、——そんなものでしたよ」
勘次かんじはひつそりとしたいへのなかにすぐ蒲團ふとんへくるまつてるおしな姿すがたた。それからおしなあしさすつてるおつぎにうつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「大徳屋の奉公人ですよ、勘次かんじというんで」