しょ)” の例文
自身番じしんばん証札あかしふだを見せろとか、四刻客よつきゃくはお断りですとか、今日、大阪入りのしょッぱなから、木戸を突かれ通しじゃございませんか」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「里のしょあけのほだされやすくたれにひとふでかりのって、そのかりいので、へっへ、ぶつりとね、へえ、雷門の糸が——どうも嫌な顔をしましてな」
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
春江のしょが来た。その夜、カフェ・ネオンの三階に於て、またまた惨劇が演ぜられた。不幸なくじを引きあてたのはふみ子という例の年増としま女給だった。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
 しょ五文字何と読むやらん、「かうぐわい」と四音に読むにや、または「郊外に」とあるべきを字のけたるにや、あるいはほかに読みやうあるべきか知らず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
内藤君の方はあさってからで、照彦様の一番おきらいな算術がしょっぱなになる。二人は黒須先生について例題をやっている。内藤君は早い。ほんのおつきあいにひかえているようなものだ。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さればよ。きっと等持院とうじいんへ行くのであろう。御葬儀の当日からしょ七日までの等持院は、目あきばかりでゴッタ返していたからね。そこで盲は盲同士と、七日過ぎての会葬を
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といふ十二字ありとせんにしょ五に何にても季の題を置きて句とするなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なぜそのしょねんへ返れというのに素直に返らぬ。——正成は武門、しかし、正成の骨肉のひとりが、そのような道へはぐれ出たことを、かなしむどころか、じつはひそかに心ではよろこんでいたのだ。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)