出石いずし)” の例文
隣藩である宮津の京極丹後守きょうごくたんごのかみ出石いずし仙石左京之亮せんごくさきょうのすけなどの家中からも、馬術の名人をすぐって参加させるのが慣例であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また天日矛あまのひぼこはこちらへわたってるときに、りっぱなたまかがみなどのいろいろのたから八品やしなっていましたが、このたからは、のち但馬国たじまのくに出石いずし大神おおがみとまつられました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
曾呂利そろり物語』四には伊予の出石いずしの山寺で足利の僧が妖怪を鎮めたとし、主怪をえんひょう坊、客怪をこんかのこねん、けんやのばとう、そんけいが三足、ごんざんのきゅうぼくとす。
但馬たじま出石いずしが城山に東南をふさがれ、竹田の町が西を閉されて、窮屈に固まっているのなどはその例である。丹後の舞鶴、奥州の二本松のような、馬蹄形の町もかくのごとくにしてできる。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
但馬の国出石いずしの産なので、こじつけの様ではあるが、私が南国にうまれ、其後又琉球、台湾と次第に南へ南へ渡って絶えず朱欒や蜜柑の香気に刺激されつつ成長した事も面白くおもわれる。
朱欒の花のさく頃 (新字新仮名) / 杉田久女(著)
「よく申した。其方のことであれば余も大丈夫とは思うているが、実は出石いずし藩の仙石殿より余に密使が参っているのじゃ——玄蕃、近う寄れ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし、但馬国たじまのくににおまつられになっている出石いずし大神おおがみのおむすめに、出石少女いずしおとめというたいそううつくしい女神めがみがおまれになりました。この少女おとめをいろいろな神様かみさまがおよめにもらおうとおもってあらそいました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
川の対岸が城崎郡だから、豊岡の方では城崎といいたくなかったのかもしれない。また豊岡へは、出石いずしの方から来る出石川が少し上流で円山川といっしょになっていて、そこも船便があったらしい。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
但馬たじま出石いずし村の生れで十歳で沙弥しゃみになり、十四歳で臨済りんざいの勝福寺に入って、希先きせん和尚に帰戒きかいをさずけられ、山城の大徳寺からきた碩学せきがくについて、京都や奈良に遊び
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだゆるされまいが、彼の生地が、但馬たじま出石いずしであり、武蔵の郷土が、美作みまさかの吉野郷で、当時、出石方面から山陽方面へ往来するには、山ひとえの道を、但馬から美作に出て
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沢庵をらっして来たのは、あながちまた、どころのないわけでもなく、武蔵の生地と、沢庵の生地但馬の出石いずしとは、山ひとえの背中合せだし、出石から山陽方面へ往来する旅には
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)