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凶事
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きようじ
黄褐色の
霧を
以て四
圍を
塞がれつゝ
只管に
其の
唐鍬を
打つて
居た
勘次は
田圃を
渡つて
林を
越えて
遠く
行つて
居た。
彼は
此の
凶事を
知る
理由がなかつた。
判斷なして此上
信心が
肝要なりと申しけるにお專も大いに
心配なし然らば明日より
鹽斷なり
斷食なりして信心を致しお前の身に
凶事なき
樣に致さんと夫婦は
來方行末を
れ
榮花の
身にしたし
娘にも
綺羅かざらせて
我れも
安心の
樂隱居願はくは
家運長久なれ
子孫繁昌なれ
兎角は
身の
上に
凶事あらせじとの
親心に
引かへし
願ひも
逆さまながら
今日身を