八丈はちぢやう)” の例文
三枚襲さんまいがさねの時は衣地きぬぢなににても三枚皆整ふべきを用ふ。たゞの下着は、八丈はちぢやう糸織いとおり更紗縮緬さらさちりめんお召等、人々の好みに因る、裏は本緋ほんひ新緋しんひ等なり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
仕立したてかけの縫物ぬひものはりどめしてつは年頃としごろ二十餘はたちあまりの意氣いきをんなおほかみいそがしいをりからとてむすがみにして、すこながめな八丈はちぢやうまへだれ、おめしだいなしな半天はんてん
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たけ六尺余の大男で、羅紗らしやの黒羽織の下には、黒羽二重くろはぶたへ紅裏べにうら小袖こそで八丈はちぢやう下着したぎを着て、すそをからげ、はかま股引もゝひきも着ずに、素足すあし草鞋わらぢ穿いて、立派なこしらへ大小だいせうを帯びてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)