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はちぢやう
三枚襲の時は
衣地何にても三枚皆整ふべきを用ふ。たゞの下着は、
八丈、
糸織、
更紗縮緬お召等、人々の好みに因る、裏は
本緋、
新緋等なり。
仕立かけの
縫物に
針どめして
立つは
年頃二十餘りの
意氣な
女、
多い
髮の
毛を
忙しい
折からとて
結び
髮にして、
少し
長めな
八丈の
前だれ、お
召の
臺なしな
半天を
着て
身の
丈六尺余の大男で、
羅紗の黒羽織の下には、
黒羽二重紅裏の
小袖、
八丈の
下着を着て、
裾をからげ、
袴も
股引も着ずに、
素足に
草鞋を
穿いて、立派な
拵の
大小を帯びてゐる。