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はちじょう
人々は「
結城」と云い、「
大島」と云い、「
八丈」と云う。すべてが郷土を記念する呼び方である。
つぶしに大きな
平打の
銀簪、
八丈の
半纏に
紺足袋をはき、霜やけにて少し頬の赤くなりし
円顔鼻高からず、
襟白粉に
唐縮緬の
半襟の汚れた
塩梅、知らざるものは
矢場女とも思ふべけれど
と
頻りに話をしているのを、
何だかごた/\していると思って、そっと
障子を明けて見たのは、春見の娘おいさで、
唐土手の
八丈の着物に
繻子の帯を締め、髪は
文金の
高髷にふさ/\と
結いまして