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兩耳
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りやうみゝ
翌朝彼は
激しき
頭痛を
覺えて、
兩耳は
鳴り、
全身には
只ならぬ
惱を
感じた。
而して
昨日の
身に
受けた
出來事を
思ひ
出しても、
恥しくも
何とも
感ぜぬ。
一
匹の
犬は
吠えながら
彼を
追ふ。
後の
方では
農夫が
叫ぶ。イワン、デミトリチは
兩耳がガンとして、
世界中の
有ゆる
壓制が、
今彼の
直ぐ
背後に
迫つて、
自分を
追駈けて
來たかのやうに
思はれた。