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先住
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せんぢう
件の
古井戸は、
先住の
家の
妻ものに
狂ふことありて
其處に
空しくなりぬとぞ。
朽ちたる
蓋犇々として
大いなる
石のおもしを
置いたり。
取出し御身分の
儀は
委細是に相認め御座候と
差出す伊豆殿
請取て開き見らるゝに
佐州相川郡尾島村淨覺院の門前に御墨附に御短刀相添て
捨是有しを淨覺院
先住天道是を
無住にも
爲て置れず我思ふには年こそ
行ねど寶澤は七歳の時より感應院が
手元にて
修行せし者なり
殊には外の子供と
違ひ
發明なる
性質にて
法印の
眞似事は
最早差支なし我等始め村中が
世話してやらば
相續として
差支へなし
然すれば
先住感應院に於ても
嘸かし
草葉の
蔭より喜び申すべし此儀如何と
述ければ
名主どのゝ云るゝ事なり寶澤は