僥倖しあはせ)” の例文
初めさせし處僥倖しあはせ繁昌はんじやうして今ではまづ不足ふそくもなくくらし居りて十七歳になる娘一人まうけたり概略あらかた後藤先生の眞實しんじつに御世話下されたるわけは右申通りゆゑ今度さいはひ私が供をしながら昔しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
理髮店とこやの店は、其頃兎や角一人前になつたノロ勘が讓られたので、唯一軒しか無い僥倖しあはせには、其間が抜けた無駄口に華客おきやくを減らす事もなく、かの凸凹の大きな姿見が、今猶人の顏を長く見せたり
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
理髪店とこやの店は、其頃兎や角一人前になつたノロ勘が譲られたので、たつた一軒しか無い僥倖しあはせには、其が抜けた無駄口に華客おきやくを減らす事もなく、かの凸凹の大きな姿見が、今猶人の顔を長く見せたり
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
のべ其後夫婦とも暫時しばらく病氣なりしが漸々やう/\全快なしそれより長八と改名して紙屑買となりしに僥倖しあはせよく追々おひ/\繁昌はんじやうして先不自由もなくくらす中お幸といふ娘迄むすめまでまうけたる事など物語ものがたり是と云も皆先生の御庇蔭おんかげなりとあつれい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞れしかと思へども何喰なにくはかほにて何も變ることは御座らねどお幸はよき世話人せわにんありて此間このあひだ備前樣びぜんさまの御屋敷へ見習奉公みならひぼうこうに出ましたと云に長兵衞は僥倖しあはせなり併ながら押詰おしつめてのかぞへ日に嘸々さぞ/\ものかゝりしならん我等も夫と知るならば何ぞいはうてやるものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)