修験しゅげん)” の例文
旧字:修驗
私の母は、埼玉県下高野しもたかの村の東大寺という修験しゅげんの家の出であります。その家の姓は菅原すがわら道補どうほという人の次女で、名をますといいました。
大峰の者か、聖護院しょうごいん派か、見知らぬ山伏だが、年ごろ四十前後の男で、鉄のような五体は、修験しゅげんぎょうきたえたというよりは、戦場で作ったものである。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「誰も、規則が出たとはいわないが、神主は高山へ登らないもので、高山でぎょうをするのは修験しゅげんのつとめだ」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
明治の新たなる政策で修験しゅげんの立派は否認せられ、彼らの一半は法を慕うて忍耐して僧となり、他の一部分は御社みやしろの威徳を忘れかね、還俗げんぞくしてひらの神職に編入せられた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その名称に法師、道士、生仏せいぶつ、僧侶、乱童の五種がある。この中にはわが国の修験しゅげん巫女みこ卜者うらないの類がことごとく含まれておる。これみな祈祷きとう、除災、予言の専業者である。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
名 白寮権現はくりょうごんげん媛神ひめがみ。(はたち余に見ゆ)神職。(榛貞臣はしばみさだおみ修験しゅげんの出)禰宜ねぎ。(布気田ふげた五郎次)老いたる禰宜。雑役の仕丁しちょう。(棚村たなむら久内)二十五座の太鼓の男。〆太鼓しめだいこの男。笛の男。おかめの面の男。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北日本海第一の大岳といわれる大山だいせんのふもとに住み、王朝藤原氏が盛んなころにできた大山寺だいせんじ三輪明神みわみょうじん修験しゅげんの大道場などを背景に、神領の領家りょうけとして富んできた一族。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山中だけに山伏めいた修験しゅげんが、自分の信仰に因縁ある文字を用いしめたのである。また
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
慈恩伝 支干考 思斎漫録 地震海嘯考じしんかいしょうこう 七帖見聞〔天台名目類聚鈔〕 信田白狐伝しのだびゃこでん 事物紀原 持宝通覧 釈氏蒙求しゃくしもうぎゅう 釈氏要覧 釈門自鏡録 拾遺往生伝 拾遺記 拾遺三宝感応伝 宗鏡録 十七史蒙求 修身雑話 修験しゅげん故事便覧 修験三十三通記 修験道伝記 修験道便蒙 述異記 須弥山略説しゅみせんりゃくせつ 修要秘決集 春秋累筆 消閑雑記 笑戯自知録 想山著聞集しょうざんちょもんしゅう 小窓間語 松亭漫筆 聖鬮賛しょうきさん 諸国怪談実記 諸国故事談 除睡抄 塵荊博問鈔じんぎょうはくもんしょう 新語園 人国記 新沙石集 心性罪福因縁集 神道名目類聚鈔しんとうみょうもくるいじゅしょう 人物故事 神仏冥応論みょうおうろん
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
仏法の一派と認めている修験しゅげん山伏やまぶしとよく類似し、後者もまたこれを承認して、時としてはその道の祖師であり守護神ででもあるかのごとく、崇敬しかつ依頼する風のあったことは
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
どうなされた弁円どの、おん身が佐竹侯に迎えられ、修験しゅげんつかさとしてこの地方へ下られていると聞き、いつかは折を得て、ゆるりと話したいと思うていたが、つい機縁ものう打ち過ぎてあった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小野氏が漢名の「簳珠かんしゅ」に比定せられた第四の非食用種、山伏修験しゅげんの徒がイラタカの数珠に製したというオニジュズダマなどは、とくに産地についてその保存の状と、是に伴なう伝承とを
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)