供華くげ)” の例文
主上と准后の廉子やすこからは、祭祀の供華くげを賜わっていたので、そのおこたえに参内したものと、衛府えふ伝奏でんそうには触れられているという。
焼香供華くげ礼拝らいはい誦経じゅきょう、心しずかに称名しょうみょうしたろう真面目さ、おとなしさは、何という人柄の善いことだろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
供華くげのためあぜ芍薬しゃくやくつくるとか
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
葬儀は、衣笠山きぬがさやまの等持院でいとなまれた。勅使の差遣さけん、五山の僧列、兵仗へいじょう堵列とれつ、すべて、儀式の供華くげや香煙のさかんだったことはいうまでもない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人々の供華くげ薬缶やかんなど持ちくれて
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
やっと、ややおちついて四へきをみると、龍燈りゅうとう鳳燭ほうしょくの光は、みどり金色こんじきわし、二列となっている仙童女は、はた香瓶こうびんしゃく供華くげなどをささげていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かたがた、こよいは参籠さんろうのつもりでまいった。なにかと供華くげの用意などもしてもらいたい」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いぶかりつつ眸をこらして正面の仏龕ぶつがんほのかな辺りを見ると、厨子ずし位牌いはい金壁こんぺき供華くげ拈香ねんこうなどのおごそかなものの影のうちに、さきの誓書一束が供えられてあるのがひとしお目につく。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)