のけ)” の例文
鉄の笞を持っていた男どもはすぐに飛びかかって、かの囚人らを片っ端から蹴倒すと、男も女ものけざまに横ざまに転げまわって無数の毒蛇の輪の中へ——
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と重たいまげをうしろへ振って、そのままのけざまに倒れそうな、身をんでひざで支えて、ハッとまた呼吸いきくと、トントンと岩に当って、時々がけを洗う浪。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のめって行ってふすまもろとも顛倒てんとうする、同時に岡部五太夫が右へ、石山弾兵衛がのけざまに、いずれも致命の一撃を食らって倒れた。残るところ二人、軍十郎と兵右衛門。
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
突懸つっかかり、端に居たやつは、くたびれた麦藁帽むぎわらぼうのけざまにかぶって、頸窪ぼんのくぼり落ちそうに天井をにらんで、握拳にぎりこぶしをぬっと上げた、脚絆きゃはんがけの旅商人たびあきんどらしい風でしたが、大欠伸おおあくびをしているのか、と見ると
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)