二枝ふたえだ)” の例文
その頃いつも八重さくらがさかりで、兄はその爛熳らんまんたる花に山吹やまぶき二枝ふたえだほどぜてかめにさして供へた。伯母おばその日は屹度きつとたけのこ土産みやげに持つて来た。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
と思うと、トントントンと軽い柔かな音に連れて、つまが揺れ揺れ、揃ったもすそが、柳の二枝ふたえだなびくよう……すらすらと段を下りた。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取替とりかえて貰おう。」と、霎時しばらくして重太郎は自分の枝を出した。お葉も自分の枝を出した。春待顔はるまちがおに紅い蕾を着けた椿の二枝ふたえだは、二人の手によって交換されたのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おもふと、トン/\トンとかるやはらかなおとれて、つまれ/\、そろつたもすそが、やなぎ二枝ふたえだなびくやう……すら/\とだんりた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)