中止やめ)” の例文
今のところ食料と飲料水とは「見えぬ恩人」が持って来てくれるので心配する必要はなかったけれど、いつそれが中止やめになるかもしれぬ。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
マーキュ いや、こんな阿呆あほらしい拔駈ぬけがけ競爭きゃうさう最早もう中止やめぢゃ。何故なぜへ、足下おぬし最初はじめからぬけてゐるわ。なんと、頭拔づぬけた洒落しゃれであらうが。
そうして折角三人も揃って思い立たれた今夜の計画を、これくらいの事にビックリしてお中止やめになるはずもない。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「これで二頁だ。もう一頁あったようだったけれど、これ丈け写し取ったら足音が聞えたから、中止やめにした」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「嘘のことはない。やろうと思ったから行ったのだけれど中止やめにしてしまったの。だって、須磨子の鼻を見ていたら——鼻の低いものが寄合ったってしようがないじゃないの」
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ヂュリ いゝえ/\、それを中止やめにする方便てだていなら、いたなぞとおッしゃるな。おまへ智慧ちえにもあたはぬなら、ついわし覺悟かくごをば分別ふんべつぢゃとめてくだされ、すればこの懷劒くわいけん今直いますぐ敢行してのけう。
「弟が病気でもないのに薬をくれる。そして結婚式に出すまいとする。そんな事をするお医者は僕の兄さんになれません。僕は此結婚はいけないと思います。どうか中止やめにして被下ください。僕は明言します」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)