世迷言よまいごと)” の例文
恋には人間の真髄が動く、とか聴かされて、又感服した。其他そのたまだ種々いろいろ聴かされて一々感服したが、此様こんな事は皆愚言たわごとだ、世迷言よまいごとだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そればかりか、恐らく乾き切ってコチコチになっているであろう舌で、殆ど意味をなさぬ世迷言よまいごとをつぶやく気勢さえ感じられた。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こうした見方もあるいは現代の俳人に多少の参考にはなるかもしれないと思ったので思い出話のついでに拙ない世迷言よまいごとを並べてみた次第である。
明治三十二年頃 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
鯰入 やあ、何と、……それを頼みたいばッかりに恥をさらした世迷言よまいごとじゃ。……嬉しや、大目に見て下さるかのう。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ロージングは好まざる人に取っては全くの世迷言よまいごとだ。私は冗漫になる記述を避けて、直ちにそのレコードについて語ることとしよう。(すべてコロムビア)
しかるににすねたる阿呆あはういた文学者ぶんがくしや斥罵せきばすれども是れ中々なか/\識見しきけん狭陋けふろう現示げんじせし世迷言よまいごとたるにぎず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
例の通り駕籠かごに乗り、若いのが駕籠わきに附添って、そうして、この唐人小路の思いがけないさらし物のところまで来て、そのさらし物の世迷言よまいごとが耳に入ると、グッとこたえてしまいました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「何を申す、世迷言よまいごとを——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
世迷言よまいごとを申すな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は世迷言よまいごとを呟きながら、飽かず宝石を弄んでいたが、やがて、ふと気がついた様に、残り二つの棺桶に目を注いだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
道学先生の世迷言よまいごとのように思って、鼻であしらっていた男だが、不思議な事には、此時此手紙を読んで吃驚びっくりすると同時に、今夜こそはといきり立っていた気が忽ちえて、父母ちちははしきりに懐かしく
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
鉱蔵 世迷言よまいごと饒舌しゃべるな二才。村は今既にひでりの焔に焼けておる。それがために雨乞するのじゃ。やあみんな、手ぬるい、遣れ遣れ。(いずれも猶予するを見て)らちかんな、伝吉ども来い。(とわめく。)
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もうこの上貴様の世迷言よまいごとを聞いている暇はない。じゃあアバヨ。奥さんは確かに頂戴ちょうだいしたぜ」
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
もう世迷言よまいごとも申しますまい。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世迷言よまいごとをわめき立てた。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
世迷言よまいごとを言うなよ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)