不動明王ふどうみょうおう)” の例文
仏、菩薩では、不動明王ふどうみょうおうは煩悩を智の利剣で斬り伏せる折伏門係り、観世音かんぜおんは慈悲で智慧を育て上げる摂受門係りであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
不動明王ふどうみょうおう炎陣えんじんからとばされたこんがら、せいたかの両童子りょうどうじでもあるように、火だらけになってころげだしたふたりをそこに見るやいな
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ムクムクとあがる黒煙の中にチロチロうごくヘビの舌のような火焔かえん、そこに一瞬間火につつまれた不動明王ふどうみょうおうのような青銅の魔人の、ものおそろしい姿が、チラチラとながめられました。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
三七日の断食に落命するは不動明王ふどうみょうおうを信ずるがゆえなり。この人民の仲間に行なわるる真理の多寡を問わば、これに答えて多しと言うべからず。真理少なければ偽詐多からざるを得ず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
働くのは、これ全て、魔性ましょうのしわざであり、主上がこれに対しておとめだてなさるのは、あくまで不動明王ふどうみょうおうの加護に依て、仏の道に導き参らせたいという有難いご趣旨から出たことである
又宮中に於いて尊意が加持祈祷かじきとうしている時、帝は夢に不動明王ふどうみょうおうが火焔の中で声をはげまして呪文じゅもんを唱えていると見給い、おん眼がさめて御覧になると、それは尊意の読経どきょうの声であったと云う。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
四隅に護持する増長ぞうじょう持国じこく広目こうもく多聞たもんの一丈の四天王をはじめ、この間に佇立する梵天ぼんてん帝釈天たいしゃくてん密迹王みっしゃくおう金剛王こんごうおう不動明王ふどうみょうおう、地蔵尊、弁才天、吉祥天きっしょうてん、及び北面する秘仏、執金剛神しゅうこんごうじん
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
その神様の種類からいえば、先ず店の間の天照皇太神宮てんしょうこうたいじんぐうを初めとし、不動明王ふどうみょうおう戸隠とがくし神社、天満宮てんまんぐうえびす大黒だいこく金比羅こんぴら三宝荒神さんぼうこうじん神農しんのう様、弁財天、布袋ほてい、稲荷様等、八百万やおよろずの神々たちが存在された。