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一返
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いっぺん
ふりがな文庫
“
一返
(
いっぺん
)” の例文
「今に
癒
(
なお
)
ったらもう
一返
(
いっぺん
)
東京へ遊びに行ってみよう。人間はいつ死ぬか分らないからな。何でもやりたい事は、生きてるうちにやっておくに限る」
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼らは
他人
(
ひと
)
を彼らと同程度に引き
摺
(
ず
)
り落して
喝采
(
かっさい
)
するのみか、ひとたび引き摺り落したものを、もう
一返
(
いっぺん
)
足の下まで
蹴落
(
けおと
)
して、堕落は同程度だが
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう
一返
(
いっぺん
)
最初から読み直して見ると、ちょっと面白く読まれるが、どうも、自分が今しがた
入
(
はい
)
った神境を写したものとすると、
索然
(
さくぜん
)
として物足りない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
次の日曜になると、宗助は例の通り一週に
一返
(
いっぺん
)
の
楽寝
(
らくね
)
を貪ぼったため、
午前
(
ひるまえ
)
半日をとうとう
空
(
くう
)
に
潰
(
つぶ
)
してしまった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時の私がもしこの驚きをもって、もう
一返
(
いっぺん
)
彼の口にした覚悟の内容を公平に
見廻
(
みまわ
)
したらば、まだよかったかも知れません。悲しい事に私は
片眼
(
めっかち
)
でした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「そうか、それじゃおおせに従って、もう
一返
(
いっぺん
)
頼んで見ようよ。——時に何時かな。や、大変だ、ちょっと社まで行って、校正をしてこなければならない。
袴
(
はかま
)
を出してくれ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頭脳が比較的
明暸
(
めいりょう
)
で、理路に感情を
注
(
つ
)
ぎ込むのか、または感情に
理窟
(
りくつ
)
の
枠
(
わく
)
を張るのか、どっちか分らないが、とにかく物に筋道を付けないと承知しないし、また
一返
(
いっぺん
)
筋道が付くと
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ええそりゃそうよ、約束ですもの。
一返
(
いっぺん
)
断ったけれども、模様次第では行けるかも知れないだろうから、もう一返その日の
午
(
ひる
)
までに電話で都合を知らせろって云って来たんですもの」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もっとも
平生
(
へいぜい
)
は忙がしさに追われて、別段気にも掛からないが、
七日
(
なのか
)
に
一返
(
いっぺん
)
の休日が来て、心がゆったりと落ちつける機会に
出逢
(
であ
)
うと、不断の生活が急にそわそわした
上調子
(
うわちょうし
)
に見えて来る。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼が一秒で十年以上の
手柄
(
てがら
)
をするのは、その時に限るのよ。しかもそんな場合は誰だって
生涯
(
しょうがい
)
にそうたんとありゃしないわ。ことによると生涯に
一返
(
いっぺん
)
も来ないですんでしまうかも分らないわ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この漆はね、先生、
日向
(
ひなた
)
へ出して
曝
(
さら
)
しておくうちに
黒味
(
くろみ
)
が取れてだんだん
朱
(
しゅ
)
の色が出て来ますから、——そうしてこの竹は
一返
(
いっぺん
)
善く煮たんだから大丈夫ですよなどと、しきりに説明をしてくれる。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥