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一議
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いちぎ
一議に及ばず、
草鞋を上げて、道を左へ
片避けた、足の底へ、草の根が
柔に、
葉末は
脛を隠したが、
裾を引く
荊もなく、
天地閑に、虫の
羽音も聞えぬ。
「
一議におよばず、貴意に
委すといって来た。これでよかろう」
一議に
及ばず、
旦那以爲然が、
何分大枚の
代物であるから、
分別隨一と
云ふ
手代が、
此の
使を
承る。と
旦那も
十分念を
入れて、
途中よく
氣をつけて、
他人には
指もさゝせるな。