一議いちぎ)” の例文
一議いちぎに及ばず、草鞋わらじを上げて、道を左へ片避かたよけた、足の底へ、草の根がやわらかに、葉末はずえはぎを隠したが、すそを引くいばらもなく、天地てんちかんに、虫の羽音はおとも聞えぬ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一議いちぎにおよばず、貴意にまかすといって来た。これでよかろう」
一議いちぎおよばず、旦那だんな以爲然もつてしかりとしたが、何分なにぶん大枚たいまい代物しろものであるから、分別ふんべつ隨一ずゐいち手代てだいが、使つかひうけたまはる。と旦那だんな十分じふぶんねんれて、途中とちうよくをつけて、他人たにんにはゆびもさゝせるな。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)