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をがさはらし
「一
枝」と
意を
得ると、
小笠原氏の
顔を
出して、
事もなげに
頷くのを
視て、
折り
取る
時、
瀬の
音が
颯と
響いた。
「
天気模様は
如何でせうな。」「さあ——」「
降るのは
構ひませんがね、その
雷様は——」
小笠原氏は、
幌なしの
車に、
横ざまに
背筋を
捻ぢて、
窓に
腰を
掛けたやうな
形で
飛び
飛び
またいつも
影の
形に
添ふやうな
小笠原氏のゐなかつたのは、
土地の
名物とて、
蕎麦切を
夕餉の
振舞に、その
用意に
出向いたので、
今頃は、
手を
貸して
麺棒に
腕まくりをしてゐやうも
知れない。