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れいじよう
火山の
噴火鳴動を
神業と
考へたのは
日本ばかりではないが、
特に
日本においてはそれが
可なり
徹底してゐる。まづ
第一に、
噴火口を
神の
住み
給へる
靈場と
心得たことである。
南の
池を、それ/″\
奧方の
阿蘇津妃命、
長子たる
速瓶玉命の
靈場と
考へられてあつた。
更に
日本では、
火山の
主が
靈場を
俗界に
穢されることを
厭はせ
給ふがため、
其處を
潔める
目的を
以て
時々爆發を
起し、
或は
鳴動によつて
神怒のほどを
知らしめ
給ふとしたものである。
道の右は山を
𠠇りて長壁と成し、
石幽に
蘚碧うして、
幾条とも白糸を乱し懸けたる
細瀑小瀑の
珊々として
濺げるは、
嶺上の松の
調も、
定てこの
緒よりやと見捨て難し。