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ひぶん
おそれ我方
非分と知りながら是を
捌く事
遠慮する所
彼越前守は
奉行となつてたちまち一時に
是非を
糺し
我領分をまけになしたる
段あつぱれ
器量は
格別にして
智仁勇三
徳兼備の
大丈夫なり
彼を
サン
此方の
非分にならぬやうに、
先方から
發端けさせい。
先來
紀州殿非分なりといへども御三家の
領分を
忠相段々
聞れける所
紀州殿方
甚非分なりとてあきらかに
取捌けり只今までの
奉行いかなれば
穩便にいたし置けるにや幸ひに越前守
相糺すべきなりとて
紀州の方まけと成て勢州山田方
理運甚だしかりき
爰において
年頃のうつぷんを
と伊那丸はさらに
床の
間にちかづいて指さした。それまでは
他の者も、なにか、
得体の知れない、ただ
岩の
肌へ
墨をつけてそれを
転写した
碑文かなにかと思っていた。
今もその
洞穴の
人り
口に
建つてゐる
碑文にそのことが
記されてあります。