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ばんしよく
居間にはもう電燈が
点いてゐた。代助は
其所で、梅子と共に
晩食を
済ました。子供
二人も
卓を共にした。誠太郎に
兄の
部室からマニラを一本
取つて
来さして、
夫を
吹かしながら、雑談をした。
代助は書斎に
閉ぢ
籠つて
一日考へに
沈んでゐた。
晩食の時、門野が
眞黒に
焦げた
顏の
中に、
眼だけ
光らして、
見違へる
樣に
蠻色を
帶びた
彼は、
比較的日の
遠い
座敷へ
這入つたなり
横になつて、
兄の
歸りを
待ち
受けてゐたが、
宗助の
顏を
見るや
否や