“ばんしょう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
万象52.2%
万障13.0%
番匠8.7%
万檣4.3%
万鍾4.3%
伴上4.3%
半鐘4.3%
蕃椒4.3%
蟠松4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
陰※いんえいたる空におおわれたる万象ばんしょうはことごとくうれいを含みて、海辺の砂山にいちじるき一点のくれないは、早くも掲げられたる暴風警戒けいかい球標きゅうひょうなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
万障ばんしょう一排いっぱいして二月二十七日を都落みやこおちの日と定め、其前日二十六日に、彼等夫婦は若い娘を二人連れ、草箒くさぼうき雑巾ぞうきんとバケツを持って、東京から掃除そうじに往った。案外道が遠かったので、娘等は大分弱った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
家をつくり、塔を組む、番匠ばんしょうなんどとは事変りて、これはしょうなき粗木あらきを削り、男、女、天人、夜叉、羅刹らせつ、ありとあらゆる善悪邪正のたましいを打ち込む面作師。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ニューカッスルの造船所あるがゆえなり。マンチェスターの綿花製造所、シェフィルドの鉄器製造所あり、ロンドンの万檣ばんしょう林立の港湾あるがゆえなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
後世のいわゆる「万鍾ばんしょう我において何をか加えん」の気骨も、炯々たるその眼光も、痩浪人やせろうにんいたずらなる誇負こふから離れて、既に堂々たる一家の風格を備えて来た。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
今いう職人に属するものでは誰でも知っている雉子きじ(木地)屋敷や轆轤ろくろ屋敷、伴上ばんしょう(番匠)貝戸がいと・細工畑・紺屋こうや畑・鍛冶荒居かじあらいなどの地名がこの地方にはある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もはや、炎々と燃えさかって来た広海屋の大屋台——そのほむらの明るさは、既に、そこら中人の顔、眉毛の数までがわかるほどだ。ごく近い、火の見では、激しい半鐘ばんしょうのひびき!
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
テントコ 鳥取県の中津山村では、胡椒こしょうをテントコといっている。この地でコショウというのは蕃椒ばんしょうすなわちトウガラシのことである。蕃椒をコショウと呼ぶ地域は存外に弘い。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
竹逕ちくけい涼雨りょうう怪巌かいがん紅楓こうふう蟠松ばんしょう晴雪せいせつ……育徳園いくとくえん八景といって、泉石林木せんせきりんぼく布置ふち幽邃ゆうすいをきわめる名園がある。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)