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はなれざしき
一晩、
其のお
醫師の
離座敷のやうな
處に
泊められますと、
翌朝、
咽喉へも
通りません
朝御飯が
濟みました。
間もなくでございましたの。
数月の後、保は
高町の坂下、紺屋町西端の雑貨商
江州屋速見平吉の
離座敷を借りて
遷った。この江州屋も今なお存しているそうである。
兎に
角思ひ
立たせ
給へとて、
紀の
守が
迷惑氣にも
見えず
誘ふにぞ、
夫好からんとて
夏のさし
入りより、
別室を
仮住に
三月ばかりの
日を
消しゝが、
歸邸の
今日の
今も
猶殘る
記臆のもの二ツ