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はしを
その折屋敷の
主人は二三人の
下男を相手に、
頬冠りに尻を
端折つて屋根を這ひ廻つてゐた。
衣服を
着て
帶を
〆めて、やがて
尻を
端折らうと
云ふ
頃、ふと
橋の
上を
見ると、
堅氣も
多いが、
賣女屋のある
小さな
宿、
何となく
自墮落の
風が
染まると
見えて、
宿中いづれも
朝寢らしい。
哀れ
氣な聲を出して、
動もすれば
後れて
了ひさうなお光は、高く着物を
端折り、
絽縮緬の
長襦袢の
派手な
友染模樣を
鮮かに現はして、小池に負けぬやうに、
土埃を蹴立てつゝ歩き出した。