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ねんぶつしう
村落のどの
家からか
今日も
念佛衆へというて
供へられた二
升樽を
圍爐裏の
側へ
引きつけて、
臀の
煤けた
土瓶へごぼ/\と
注いで
自在鍵へ
掛けた。
念佛衆の
内には
選ばれて
法願と
喚ばれて
居る
二人ばかりの
爺さんが、
難かしくもない
萬事の
世話をした。
提灯と
花籠は
先に
立つた。
後からは
村の
念佛衆が
赤い
胴の
太皷を
首へ
懸けてだらりだらりとだらけた
叩きやうをしながら一
同に
聲を
擧て
跟いて
行つた。
柩は
小徑を
避けて
大道を
行つた。