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だいあく
右の手に持
顯れ出たる一人の
女行先に
立塞り
汝大惡無道の吾助大恩有る主人と知りながら
兄君を
害し岡山を立
退し事定めて覺え有べし今爰に
逢しは天の
賜もの
疾々勝負を
懷中より取出し長庵が前へ
摺寄開きて見れば
這は如何に
文字は
消て
跡形無くたゞ
情なき
白紙なり是は長庵が惡計にて跡の證據に成らざる
樣最初より
工んで置きたる
大惡無道恐しかりける事共なり
盡されしは京都
堂上方の
御内に
關係の事
故なればなり
然ど四海に
轟く
明智の
忠相殿ゆゑ
始終の所まで
洞察されて
嚴敷問られければ
大惡無道の安間平左衞門も終に白状に及び口書も
相濟御
咎の次第を