“たちなお”の漢字の書き方と例文
語句割合
立直100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おさえつけるようにいうと、ぴょいと立直たちなおってかしらうずたかく大きく突出つきでた、くれないの花のひさしの下に、くるッとした目をみはって立った。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
杖をこみち突立つきたて/\、辿々たどたどしく下闇したやみうごめいてりて、城のかたへ去るかと思へば、のろく後退あとじさりをしながら、茶店ちゃみせに向つて、ほっと、立直たちなおつて一息ひといきく。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
五尺ばかり前にすらりと、立直たちなおる後姿、もすそを籠めた草の茂り、近く緑に、遠く浅葱あさぎに、日の色を隈取くまどる他に、一ぼくのありて長く影を倒すにあらず。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馴々なれなれしくいうと、急に胸をらして、すッきりとした耳許みみもとを見せながら、顔を反向そむけて俯向うつむいたが、そのまま身体からだの平均を保つように、片足をうしろへ引いて、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかまに、小波さざなみ寄するかすかな響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震どうぶるいをして、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)