“ぜんけい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
善卿33.3%
前掲16.7%
前景16.7%
全景16.7%
全渓16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
然るに安政中より維新に至るまでの間に、狩谷従之と云ふものがあつて、文雅人名録の類に載せられてゐる。従之はあざな善卿ぜんけいと云ひ、通称を三右衛門と云ひ、融々ゆう/\しう二と号した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
苦しめることになるのであるかく考えれば前掲ぜんけいの少女の父親よりも利太郎を疑う方が順当のように思われるがいかに。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
前掲ぜんけいの萩の茶屋に住んでいる老婦人というのは鴫沢しぎさわてるといい生田いくた流の勾当こうとうで晩年の春琴と温井検校に親しく仕えた人であるがこの勾当の話を聞くに
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
前景ぜんけいに立つ若い一対いっついの男女は、伝説のジョン、アルデンとメーリー、チルトンででもあろうか。二人共まだ二十代の立派な若い同士。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
近村の二本松を前景ぜんけいにして、いつも近くは八王子在の高尾小仏、遠くて甲州東部の連峰が見ゆるあたりだけ、卵色の横幕を延いた様に妙に黄色になり、其上層は人をおどす様な真黯まっくらい色をして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひそかにおもふ。みづうみ全景ぜんけいは、月宮げつきうよりして、みきむらさきみどりなる、たまえだより、金色こんじきをのつてなげうつたる、おほいなる胡桃くるみの、割目われめあをつゆたゝへたのであらう。まつたく一寸ちよつと胡桃くるみる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
朝熊山あさまやまの眺望、ことに全渓ぜんけいみなうめで白いという月ヶ瀬の話などが清三のあくがれやすい心をひいた。それから京都奈良の話もその心をひき寄せるに十分であった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)