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しよくぶつ
『えゝ、
知つて
居てよ!』と
愛ちやんが
叫びました、この
最後の
言葉には
頓着せずに。『それは
植物だわ。
些とも
人間のやうな
恰好をしちや
居なくつてよ』
他に
例の
無かつたのを
今回見出したのだ。
俵形の
土器から
植物を
探し
出したのは、
實に
余である。
危く
人夫が
捨てやうとしたのを、
引取つて
調べたからである。
凡ての
植物が
有つて
居る
緑素は
悉皆空が
持つて
居るのだ。
春になると
空はそれを
雨に
溶解して
撒いてやるのだ。それだから
濕うた
枝はどれでも
青く
彩られねばならぬ
筈である。