“かんどり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
楫取36.4%
寒鳥18.2%
楫主9.1%
神取9.1%
神鳥9.1%
舵取9.1%
舵手9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ぢやによつて沖を通る廻船さへ、時ならぬ潮のさしひきに漂はされて、水夫かこ楫取かんどりあわてふためく事もおぢやつたと申し伝へた。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『——寒鳥かんどりの身はむしらるる行方かな』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船は、無論、暗澹あんたんたる中をグルグル廻っているのである。水夫かこ楫主かんどり、船幽霊のような声をあげて、ワーッと八方の闇にうろたえている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船頭しぼりの水襦袢みずじゅばんをつけて帆役や荷方、水夫かこ楫主かんどりが、夜凪よなぎをのぞんでめいめいの部署に小気味よくクルクルと活躍しだす一方には、手形を持って便乗する商人あきゅうどだの、寺証てらしょうをたよりに乗る四国まい
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、振向いてみると、それはこの城に二ヵ月ほど前から滞留して、家中の士に剣の法を教えていた神取かんどり新十郎とよぶ新当流しんとうりゅうの武芸者であった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その折、筒井家の客となっていた神取かんどり新十郎という剣者と知りあい、後、当城へ招いて、数年のあいだ新当流を学び、その奥旨おうしさずかりましたが——なぜか自身、どうしても、満足ができません。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初は明治二十九年のことで、正妻の入院中愛妾の神鳥かんどりみさほを引き入れた最初の夜に、伝次郎はみさほのために紙切刀かみきりがたなで頸動脈を切断され、みさほもその現場で自殺を遂げてしまったのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すぐに多分の酒手を与えて船頭を初め舟子かこ舵取かんどりまで上陸させて、自分一人が夜通し船に居残るように計らった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
にがい、みぐるしい案内者あんないじゃよ! やい、命知いのちしらずの舵手かんどりよ、くるしいうみつかれたこの小船こぶねを、はや巖礁角いはかど乘上のりあげてくれ!……さ、戀人こひゞとに!(と飮む)。