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おほりん
其の
惱ましさを、
崖の
瀧のやうな
紫陽花の
青い
叢の
中に
突つ
込むで
身を
冷しつゝ、
且つもの
狂はしく
其の
大輪の
藍を
抱いて、
恰も
我を
離脱せむとする
魂を
引緊むる
思ひをした。
順を
譲つて、
子爵夫人をさきに、
次々に、——
園は
其の
中でいつちあとに
線香を
手向けたが、
手向けながら
殆ど
雪の
室かと
思ふ、
然も
香の
高き、
花輪の、
白薔薇、
白百合の
大輪の
花弁の
透間に