“あるもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
或者40.7%
或物33.3%
一物7.4%
某者7.4%
有者3.7%
有物3.7%
某物3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
或者あるものは、身代金によって品子さんを買戻すことを提案した。或者は、犯人捜索に多額の懸賞金をつけることを発表せよと説いた。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
国芳の描ける活気ある風景画の或物あるものはけだしこの種類ジャンル中の逸品たると共にまた浮世絵板物はんものを通じてその最も偉大なるものたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
魂が裳抜もぬければ一心にしゅうとする所なく、居廻りに在る程のものことごと薄烟うすけぶりに包れて虚有縹緲きょうひょうびょううちに漂い、有るかと思えばあり、無いかとおもえばないなかに、唯一物あるものばかりは見ないでも見えるが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
戸外そとに出て海の方を見ていた村の人の某者あるものは、冥濛めいもうな海のはてに当って、古綿ふるわたをひきちぎったような雲が浮んで、それに電光がぎらぎらと燃えつくようになったのを見た。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白痴たはけ有者あるものか取たなら取たと申せ何も其方がたのまれる程で金子を取たとてべつはぢにも成ぬ又其方の身分で其金を取ぬと申たとてべつほめる處もない今申通金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
用ひるゆゑ人々にも立られ至つて侠氣をとこぎ有者あるものなり此八五郎が女房は去年病死して跡には女子一人有けれ共最早三歳にもなりければちゝも入らずすこしづつ食事をあたへてやしなひけるゆゑ近所の者後妻を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「けれども有物あるものだから、所好すきなら飲んでもらはう。お前さんもくのだらう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と、病人に憑いた原因を聞くと、食物が欲しかったとか、某物あるものが羨ましかったとか、門口を通っていたら其処の犬に吠えられたから、恨みも何もなかったけれども憑いたとか、種々のことを云った。
村の怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)