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恁
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か
ふりがな文庫
“
恁
(
か
)” の例文
恁
(
か
)
うして
買
(
か
)
つて
參
(
まゐ
)
ります
品物
(
しなもの
)
が
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
らないと、
甚
(
ひど
)
いんですぜ、そりや、
踏
(
ふ
)
んだり、
蹴
(
け
)
つたり、ポカ/\でさ。
我又不善擇人參可否
(
われまたにんじんのかひをえらぶことをよくせず
)
。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何だ、馬鹿々々しい、俺は
怎
(
どう
)
して
恁
(
か
)
う時々、淺間しい馬鹿々々しい事をするだらうと、頻りに自分と云ふものが輕蔑される、…………
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『えゝ
只今
(
たゞいま
)
、
足下
(
そくか
)
に
御關係
(
ごくわんけい
)
の
有
(
あ
)
る
事柄
(
ことがら
)
で、
申上
(
まをしあ
)
げたいと
思
(
おも
)
ふのですが。』と、
市役所員
(
しやくしよゐん
)
は
居並
(
ゐなら
)
ぶ
人々
(
ひと/″\
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
が
濟
(
す
)
むと
恁
(
か
)
う
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
した。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
鍛冶
(
かぢ
)
は
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
仕事
(
しごと
)
が
支
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
たが、それでも
恁
(
か
)
ういふ
職業
(
しよくげふ
)
に
缺
(
か
)
くべからざる
道具
(
だうぐ
)
といふと
何處
(
どこ
)
でもさういふ
例
(
れい
)
の
速
(
すみやか
)
に
拵
(
こしら
)
へてくれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
吸物の
蓋
(
ふた
)
を取ると走りの
松蕈
(
まつたけ
)
で、
芳
(
かう
)
ばしい匂がぷんと鼻に
応
(
こた
)
へる。
給持
(
きうぢ
)
の
役僧
(
やくそう
)
は『
如何
(
どう
)
だ』といつた風に眼で笑つて、
然
(
そ
)
して
恁
(
か
)
う
言
(
い
)
つた。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
恁
(
か
)
く永久に賞美されない料理人の外に、一寸触つても
破
(
こわ
)
れさうな書画骨董の注意と、盆栽の手入で、其れも時には礼の一ツも云はれゝばこそ
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それに私なんか
恁
(
か
)
う見えても
温順
(
おとな
)
しいんだから、
鉄火
(
てつか
)
な真似なんか
迚
(
とて
)
も柄にないの。ほんとうに温順しい
花魁
(
おいらん
)
だつて、みんなが
然
(
さ
)
う言ふわよ。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
皺嗄
(
しやが
)
れた
殆
(
ほとん
)
ど
聴取
(
きゝと
)
れない
程
(
ほど
)
の
聲
(
こゑ
)
で、
恁
(
か
)
う
唄
(
うた
)
ふのが
何處
(
どこ
)
ともなく
聽
(
きこ
)
えた。
私
(
わたし
)
は
思
(
おも
)
はず
少
(
すこ
)
し
歩
(
あゆみ
)
を
緩
(
ゆる
)
くして
耳
(
みゝ
)
を
傾
(
かたむ
)
けた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
とある村立共同浴場の湯氣の中から廣くまるい肩の一角を見せた存在物が
恁
(
か
)
うして民謠「
婆
(
ばゞ
)
の
腰
(
こし
)
」を唄ひだした。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
『エ、おい、べら棒な。
恁
(
か
)
う見えても急所だぜ。問屋の
菎蒻
(
こんにやく
)
ぢやあるめいし、
無價
(
ただ
)
で蹈まれて間に合ふけえ』。
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
……ふさぎの虫がクスクス笑ふ……
狂者
(
きちがひ
)
、狂者、まるで汝は狂者だ、
恁
(
か
)
うして居る中にも頓狂な発作の
陰謀
(
たくらみ
)
が恐ろしい心のどん底から
可笑
(
をか
)
しいほどはしやぎ出す
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大きな机の上に
置
(
おき
)
洋灯
(
ランプ
)
があつて、
其
(
その
)
側
(
そば
)
の棚にグルグル巻きにした描きさしの絵があつた。先生は夫れを一枚一枚とりだしては筆を加へられた。
恁
(
か
)
ふ左の手を懐中にしてサツサツと筆を動かされる。
写生帖の思ひ出
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
後に生命を持ち得るからこそ
恁
(
か
)
うしなければならなかつたのです。
獄中の女より男に
(新字旧仮名)
/
原田皐月
(著)
『僕は不思議ですねえ。
恁
(
か
)
うして貴女と話してると、何だか自然に芝居を
演
(
や
)
りたくなつて来て、
遂
(
つい
)
心にない事まで言つて了ひます。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
久
(
ひさ
)
しぶりで、
恁
(
か
)
うして
火
(
ひ
)
を
置
(
お
)
かせたまゝ、
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
小間使
(
こまづかひ
)
さへ
遠
(
とほ
)
ざけて、ハタと
扉
(
ひらき
)
を
閉
(
とざ
)
した
音
(
おと
)
が、
谺
(
こだま
)
するまで
響
(
ひゞ
)
いたのであつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
實
(
じつ
)
を
申
(
まを
)
すと
私
(
わたし
)
も
疑
(
うたが
)
つてゐるのです。
然
(
しか
)
し
尤
(
もつと
)
も、
私
(
わたくし
)
は
或時
(
あるとき
)
は
死
(
し
)
なん
者
(
もの
)
のやうな
感
(
かんじ
)
もするですがな。
其
(
そ
)
れは
時時
(
とき/″\
)
恁
(
か
)
う
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
があるです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「どうしたね
勘次
(
かんじ
)
、
恁
(
か
)
うして
連
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
られてもいゝ
心持
(
こゝろもち
)
はすまいね」といつた。
藁草履
(
わらざうり
)
を
穿
(
は
)
いた
勘次
(
かんじ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
涙
(
なみだ
)
がぽつりと
落
(
お
)
ちた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
恁
(
か
)
う
言
(
い
)
ふと、
或
(
あるひ
)
は
嗤
(
わら
)
ふ
人
(
ひと
)
があるかも
知
(
し
)
れぬ。が、
其
(
それ
)
は
秘密
(
ひみつ
)
がなかつた
折
(
をり
)
のことで、
若
(
も
)
し
有
(
あ
)
つたら、
其
(
それ
)
こそ
大事
(
だいじ
)
だ。
私
(
わたし
)
は
寧
(
むし
)
ろ
此不安
(
このふあん
)
を
消
(
け
)
すために、
私
(
そつ
)
と四
畳半
(
でふはん
)
へ
忍込
(
しのびこ
)
んだ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
香気
(
にほひ
)
にしてからが
然
(
さ
)
うで、
石花菜
(
ところてん
)
を食べるのは、海の匂を味はひ、
香魚
(
あゆ
)
を食べるのは
淡水
(
まみづ
)
の匂を味はふので、今
恁
(
か
)
うして茸を食べるのは、
軈
(
やが
)
てまた山の匂を味はふのである。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
恁
(
か
)
う云つてね、金田君は身上話を聞いて呉れたお礼だからと、僕が止めるのも聞かずに、
到頭
(
たうとう
)
三鞭酒
(
シヤンパンしゆ
)
を二本ばかり抜いた。
流石
(
さすが
)
西洋通だけあつて葡萄酒だの、三鞭酒なぞの名前は
委
(
くは
)
しいもんだ。』
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
沈痛
(
ちんつう
)
な
調子
(
てうし
)
で
恁
(
か
)
う云ツて、友は其の
幅
(
はゞ
)
のある
肩
(
かた
)
を
聳
(
そび
)
やかした。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
だから謝罪た、へん其樣な横柄な言草があるけえ、蹈みましたから、御免下さいましと云ふもんだ。何でえ、失敬しただあ。己あ
其樣
(
そんな
)
に唐人言葉は知らねえ日本人なら日本の言葉で言へ、
恁
(
か
)
う最う少し胸の透く樣な文句を
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
鄰家
(
となり
)
はと、
穴
(
あな
)
から
少
(
すこ
)
し、
恁
(
か
)
う
鼻
(
はな
)
の
尖
(
さき
)
を
出
(
だ
)
して、
覗
(
のぞ
)
くと、おなじやうに、
提灯
(
ちやうちん
)
を
家族
(
みんな
)
で
袖
(
そで
)
で
包
(
つゝ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
魂
(
たましひ
)
なんど
守護
(
しゆご
)
するやうに——
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奴等の顏を見ると、僕は
恁
(
か
)
う妙に反抗心が
昂
(
たか
)
まツて來て、見るもの聞くもの、何でも皆頭から茶化して見たい樣な氣持になるんだ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何
(
なに
)
かミハイル、アウエリヤヌヰチが
云
(
い
)
ふたので
有
(
あ
)
るが、
直
(
すぐ
)
に
皆
(
みな
)
掻消
(
かきき
)
えて
了
(
しま
)
つた。
恁
(
か
)
くてアンドレイ、エヒミチは
永刧
(
えいごふ
)
覺
(
さ
)
めぬ
眠
(
ねむり
)
には
就
(
つ
)
いた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
自分
(
じぶん
)
が
勘次
(
かんじ
)
と
相
(
あひ
)
知
(
し
)
つたのは十六の
秋
(
あき
)
である。おつぎは
恁
(
か
)
うして
大人
(
おとな
)
らしく
成
(
な
)
るであらうかと
何時
(
いつ
)
になくそんなことを
思
(
おも
)
つた。おつぎは十五であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「まるで
船着場
(
ふなつきば
)
のホテルのやうだね。いつでも
恁
(
か
)
うかしら。」
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
恁
(
か
)
くてぞありける。あゝ、
日
(
ひ
)
は
何時
(
いつ
)
ぞ、
天
(
てん
)
より
星
(
ほし
)
一
(
ひと
)
つ、はたと
落
(
お
)
ちて、
卵
(
たまご
)
の
如
(
ごと
)
き
石
(
いし
)
となり、
其
(
そ
)
の
水上
(
みなかみ
)
の
方
(
かた
)
よりしてカラカラと
流
(
なが
)
れ
來
(
く
)
る。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
奴等の顔を見ると、僕は
恁
(
か
)
う妙に反抗心が昂まツて来て、見るもの聞くもの、何でも皆頭から茶化して見たい様な気持になるんだ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
自分
(
じぶん
)
に
店
(
みせ
)
を
張
(
は
)
つて
註文
(
ちうもん
)
を
取
(
と
)
るほどの
資力
(
しりよく
)
はないまでも、
同業
(
どうげふ
)
の
許
(
もと
)
に
雇
(
やと
)
はれて、
給金
(
きふきん
)
を
取
(
と
)
らうなら、
恁
(
か
)
うした
力業
(
ちからわざ
)
をするには
當
(
あた
)
らぬ。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其夢といふのは
恁
(
か
)
うで。——村で誰か死んだ。誰が死んだのか解らぬが、何でも老人だつた樣だ。そして其葬式が村役場から出た。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
成
(
な
)
りたけ
遠
(
とほ
)
く
離
(
はな
)
れて、
向
(
むか
)
う
側
(
がは
)
をお
通
(
とほ
)
んなさい。
何
(
なん
)
なら
豫
(
あらかじ
)
め
其
(
そ
)
の
用心
(
ようじん
)
で、
丁
(
ちやう
)
ど
恁
(
か
)
うして
人通
(
ひとゞほ
)
りはなし——
構
(
かま
)
はず
駈出
(
かけだ
)
したら
可
(
い
)
いでせう……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其夢といふのは
恁
(
か
)
うで。——村で誰か死んだ。誰が死んだのか解らぬが、何でも
老人
(
としより
)
だつた様だ。そして其葬式が村役場から出た。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
すぐ
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
、
辻
(
つじ
)
の
夜番
(
よばん
)
で、
私
(
わたし
)
に
恁
(
か
)
う
言
(
い
)
つて、
身
(
み
)
ぶるひをした
若
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
がある。
本所
(
ほんじよ
)
から
辛
(
から
)
うじて
火
(
ひ
)
を
免
(
のが
)
れて
避難
(
ひなん
)
をして
居
(
ゐ
)
る
人
(
ひと
)
だつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『好い月!』
恁
(
か
)
う富江が言つた。信吾は自ら嘲る樣な笑ひを浮べて、
些
(
ち
)
と空を仰いだが別に興を催した風もない。ハヽヽと輕く笑つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其の火は
朝露
(
あさつゆ
)
に
晃々
(
きらきら
)
と、霧を払つて、
満山
(
まんざん
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
に映つた、松明は
竜田姫
(
たつたひめ
)
が、
恁
(
か
)
くて
錦
(
にしき
)
を
染
(
そ
)
むる、燃ゆるが如き絵の具であらう。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
か
)
うと、今朝俺の出社したのは九時半……否十時頃だつたが、それから三時間餘も恁う默つて居ると云ふ事はない。屹度話して居たのだ。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ドカリ——
洗面所
(
せんめんじよ
)
の
方
(
かた
)
なる、
扉
(
どあ
)
へ
立
(
た
)
つた、
茶色
(
ちやいろ
)
な
顔
(
かほ
)
が、ひよいと
立留
(
たちどま
)
つてぐいと
見込
(
みこ
)
むと、
茶
(
ちや
)
の
外套
(
ぐわいたう
)
で
恁
(
か
)
う、
肩
(
かた
)
を
斜
(
はす
)
に
寄
(
よ
)
つたと
思
(
おも
)
ふと
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
か
)
うと、今朝俺の出社したのは九時半……
否
(
いや
)
十時頃だつたが、それから三時間余も恁う黙つて居ると云ふ事はない。屹度話して居たのだ。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
(
それ
)
がさ、一
件
(
けん
)
ぢやから
耐
(
たま
)
らぬて、
乗
(
の
)
ると
恁
(
か
)
うぐら/\して
柔
(
やはら
)
かにずる/\と
這
(
は
)
ひさうぢやから、わつといふと
引跨
(
ひんまた
)
いで
腰
(
こし
)
をどさり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この二三年は何か
恁
(
か
)
う不安があつて、言はうと思ふことも
遂
(
つい
)
人の前では言へなかつたりする様になつてゐたんですが……実に不思議です。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
……
然
(
さ
)
うでないと、あの
梟
(
ふくろふ
)
が
唱
(
とな
)
へる
呪文
(
じゆもん
)
を
聞
(
き
)
け、
寢鎭
(
ねしづま
)
つた
恁
(
か
)
うした
町
(
まち
)
は、ふは/\と
活
(
い
)
きて
動
(
うご
)
く、
鮮麗
(
あざやか
)
な
銀河
(
ぎんが
)
に
吸取
(
すひと
)
られようも
計
(
はか
)
られぬ。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
か
)
う何日も賣れないで居ると、屹度、自分が平家物語か何か開いて、『うれしや水鳴るは瀧の水日は照るとも絶えず、……フム面白いな。』
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
沢は
恐入
(
おそれい
)
らずには居られなかつた。
鳶
(
とび
)
の
羽
(
はね
)
には
託
(
ことづ
)
けても、此の人の両袖に、——
恁
(
か
)
く、なよなよと、
抱取
(
だきと
)
らるべき革鞄ではなかつたから。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何処か
恁
(
か
)
うナポレオンの肖像画に肖通つた所のある顔立で、愛想一つ云はぬけれど、口元に絶やさぬ微笑に誰でも
人好
(
ひとずき
)
がする。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
怒
(
おこ
)
らねえだ。が、
何
(
なに
)
もはあ、
自分
(
じぶん
)
では
知
(
し
)
らねえちゆうだ。
私
(
わし
)
も、あれよ、
念
(
ねん
)
のために、
燈
(
あかり
)
をくわんと
明
(
あか
)
るくして、
恁
(
か
)
う
照
(
て
)
らかいて
見
(
み
)
た。」
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
か
)
うして毎朝水汲に來るのが何より樂しい。話の樣な繁華な所だつたら、
屹度
(
きつと
)
恁
(
か
)
ういふ澄んだ美しい水などが見られぬだらうなどゝ考へた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
半町
(
はんちやう
)
ばかり
行
(
ゆ
)
くと、
路
(
みち
)
が
恁
(
か
)
う
急
(
きふ
)
に
高
(
たか
)
くなつて、
上
(
のぼ
)
りが
一
(
いつ
)
ヶ
処
(
しよ
)
、
横
(
よこ
)
から
能
(
よ
)
く
見
(
み
)
えた、
弓形
(
ゆみなり
)
で
宛
(
まる
)
で
土
(
つち
)
で
勅使橋
(
ちよくしばし
)
がかゝつてるやうな。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
(
か
)
うして毎朝水汲に来るのが何より楽しい。話の様な繁華な所だつたら、屹度恁ういふ澄んだ美しい水などが見られぬだらうなどゝ考へた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
理學士
(
りがくし
)
は
言掛
(
いひか
)
けて、
私
(
わたし
)
の
顏
(
かほ
)
を
視
(
み
)
て、
而
(
そ
)
して
四邊
(
あたり
)
を
見
(
み
)
た。
恁
(
か
)
うした
店
(
みせ
)
の
端近
(
はしぢか
)
は、
奧
(
おく
)
より、
二階
(
にかい
)
より、
却
(
かへ
)
つて
椅子
(
いす
)
は
閑
(
しづか
)
であつた——
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恁
漢検1級
部首:⼼
10画
“恁”を含む語句
恁麽
恁許
恁云
恁麼
恁々
恁懸
恁様
恁那
有恁
正当恁麼時