驀然まっしぐら)” の例文
烈しく吠えていたムクはこの呼び声で、また驀然まっしぐらに土間を突き抜けて、前のところへ戻って来て、行商体の男に向って鋭い睨め方。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
顛覆てんぷくされてしまいますと、今まで内部に潜み流れておりました大陸民族式の、想像も及ばない執拗深刻、かつ、兇暴残忍な血が、驀然まっしぐらに表面へ躍り出して
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
次に一角獣現じ国を荒らすことおびただしく国王また縫工してこれを平らげしむ、縫工怖々こわごわに立ち合うと一角驀然まっしぐらに駈け来って角を樹に突っ込んで脱けず、縫工幸いに樹の後に逃れいたが
驀然まっしぐらに飛び行く力突きあたる
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
驀然まっしぐらに宿の方へ走る)
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
まもなく、この邸の裏門から驀然まっしぐらに走り出だした宇治山田の米友は、相生町を真一文字に、両国橋のたもとまで飛んで来て
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
代金には皆宝石を一粒ずつ髪毛かみのけの中からつまみ出して与えましたが、それから都の大通りを驀然まっしぐらに南に走りますと、しばらくして向うから美留藻のがらのお婆さんの着物を着て
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
この時に、竹藪の中を見込んでいたムク犬は、急に起き上ると驀然まっしぐらに藪の中をめがけて飛び込んでしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馬は驚いて棹立さおだちになって、驀然まっしぐらに表門を駈け出しますと、丁度そこへ王宮から、紅木大臣を追っかけて来た兵隊が往来一パイになって押し寄せて、一度にどっ鯨波ときのこえを挙げました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
だが、この少年は、なお驀然まっしぐらに走りつづけることをやめない。どうしても後ろから、追手のかかる脱走ぶりです。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
只狂気のように頭の毛をきむしりながら、驀然まっしぐらに王宮を駈け出ました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
柳の蔭へ槍を隠して橋を渡ろうとした米友は、この声を聞くと共に、その槍を押取おっとって驀然まっしぐらに駈け出しました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
駒井甚三郎は、散漫な頭脳をそこへ統一して、驀然まっしぐらに船の図書室へ向って参入してしまいました。
七兵衛に打たれて後ろへ飛び退いたムクは、起き直るや、驀然まっしぐらに七兵衛の跡をいかけます。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お君はムクの名を連呼して、驀然まっしぐらにこの火の中へ飛び込んでしまいました。煙に捲かれることも、火にあおられることも考える余裕はなくて、お君は火の中へ飛び込んでしまい
用意がすでに整うと、第一番の射手が馬を乗り出しました。三たび馬をめぐらした後、日の丸の扇を開いて、笠の端を三度繕い、馬を驀然まっしぐらり出しながら、その開いた扇を中天になげうつ。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なるほど鷹狩には違いなかろうが、鷹狩にしては、あんまりあわただしい鷹狩であります。これらの同勢十八人は、雪を蹴立てて驀然まっしぐらに代官町の通りから荒川筋、身延街道をめがけて飛んで行きました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
振返って見ると、砂烟すなけむりを立てて一頭の駄馬が人を乗せて驀然まっしぐらに走って来ます。お君は驚いてその馬を道傍みちばたに避けると、馬は人を乗せた上に、また一人の旅人がその轡面くつわづらを取って駆けて来るのです。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と言い置いて米友は、驀然まっしぐらに走り出しました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)