飯事まゝごと)” の例文
あの幾松といふ男は子供の時飯事まゝごと見たいな話でせうが、夫婦約束までしたさうで、長い間お由良をつけ廻してゐましたよ。
こんな飯事まゝごとに頭腦を絞つておる最中に、ヘルツは電波を生ずるに成功して、マックスウェルの電磁氣論の正確なるを證明し、また光線が金屬に當り、その周圍を電離するを發見し
原子核探求の思い出 (旧字旧仮名) / 長岡半太郎(著)
何時いつまでも何時いつまでも人形にんげう紙雛好あねさまとを相手あいてにして飯事まゝごとばかりしてたらばさぞかしうれしきことならんを、ゑゝや/\、大人おとなるはやなこと何故なぜこのやうにとしをばる、七月なゝつき十月とつき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「なア坊んち、さうだつせ。……お父つあんの嫁はんもえゝが、わたへは坊んちみたいな人に、若い綺麗な嫁はん宛行あてがうて、雛はんが飯事まゝごとするやうなんを見るのが好きや。なア坊んち。……」
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
座敷には美しいをんな幾人いくたりかが人形のやうにならんでゐたが、画家ゑかきはそのなかの一人をごのみして、頻りと杯のりをしてゐた。骨董屋は飯事まゝごとのやうなそのふりを見て、腹のなかで笑つてゐた。
お村が十九で友之助が二十六ですから飯事まゝごと暮しをするようでございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私もお才も、同じ年の十一二の頃喧嘩をしたり、仲直りをしたり、時には一緒になつて飯事まゝごと遊びをしたこともあります。
何時までも何時までも人形と紙雛あねさまとをあひ手にして飯事まゝごとばかりして居たらば嘸かし嬉しき事ならんを、ゑゝ厭や厭や、大人に成るは厭やな事、何故このやうに年をば取る、最う七月なゝつき十月とつき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女のゆがんだ自尊心と、ヒステリツクな我意がもたらした結果には違ひありませんが、最初は、物置の日向ひなたぼつこがかもした、花嫁ごつこの飯事まゝごとが結んだ
大きくなつたら一緒につて、田圃の積藁つみわらの蔭で、飯事まゝごとをし乍ら約束したこともあるが、大きくなると、お松の阿魔、俺の見つともないのを嫌つて逃げ出しあがつた
小林習之進と飯事まゝごと見たいな氣で夫婦にならうと口約束位はしたかも知れないが、近頃はすつかり氣位が高くなつて、痩せ浪人などを寄せつけもしなかつたやうだから、小林習之進が泣いて頼んでも
飛んでもない。あれはほんの子供で、勇三郎と飯事まゝごと