ひるがえ)” の例文
例の招牌かんばんから釣込む植木屋は家々の招きの旗幟はた翩翻へんぽん金風あきかぜひるがえし、木戸々々で客を呼ぶ声はかれこれからみ合て乱合みだれあって、入我我入にゅうががにゅうでメッチャラコ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
わが邦はその改革前まではいまだ一雲片の空間にひるがえるを見ず。いまだ一点滴の大地につるを見ず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
四顧寥廓しこりょうかくとして、ただ山水と明月とあるのみ。飂戻りょうれいたる天風てんぷうはおもむろに馭者の毛布ケットひるがえせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
燕王の宮殿堅牢けんろうならざるにあらざるも、風雨の力大にして、高閣の簷瓦えんが吹かれてくうひるがえり、砉然かくぜんとして地にちて粉砕したり。大事を挙げんとするに臨みて、これ何のちょうぞ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
長空雪は乱れひるがえ
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さればとて故郷の平蕪へいぶの村落に病躯びょうく持帰もちかえるのもいとわしかったと見えて、野州やしゅう上州じょうしゅうの山地や温泉地に一日二日あるいは三日五日と、それこそ白雲はくうんの風に漂い、秋葉しゅうようの空にひるがえるが如くに
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)