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順風
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じゆんぷう
奧州へ
下つたんです——
其の
内、
年號は
明和と
成る……
元年申の七
月八日、
材木を
積濟まして、
立火の
小泊から
帆を
開いて、
順風に
沖へ
走り
出した
時、一
人
求めて九州へ
赴かんと大坂にて兩三日
逗留し所々を
見物し
藝州迄の
便船あるを
聞出て此を頼み乘しが
順風なれば日ならずして廣島の地に
着せしかば先廣島を一
見せんと
上陸を
させ
然ばとて西濱の港より
友綱を
解順風に
眞帆十分に
引上走らせけるにぞ矢を
射る如く早くも中國四國の
内海を
打過ぎ晝夜の
差別なく
走て
晦日の夜の
亥の
刻頃とは成れり
船頭杢右衞門は
漸く
日和を