隣近所となりきんじょ)” の例文
「ふん。むかしいまもあるもんじゃねえ。隣近所となりきんじょのこたァ、女房にょうぼうがするにきまッてらァな。って、こっぴどくやっけてねえッてことよ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「今までのように、野原に住んで、栗鼠りすや狐が隣近所となりきんじょのうちはよいが、このように多くの人の住んでいる町なかへ来たら、礼儀作法を持たねばならぬぞ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そっちと、こっちで、高声たかごえでな。もっと隣近所となりきんじょはござらぬ。かけかまいなしで、電話の仮声こわいろまじりか何かで
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが親方おやかたわるいこたァいわないから、滅多めったけるなァおしなさいよ。そこをけたにゃ、それこそ生皮なまかわにおいで、隣近所となりきんじょ大迷惑おおめいわくだわな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
なかには、かおさえあらやもうようはねえと、ながしのまんなか頑張がんばって、四斗樽とだるのようなからだを、あっちへげ、こっちへのばして、隣近所となりきんじょあわばすひま隠居いんきょや、膏薬こうやくだらけの背中せなかせて、弘法灸こうぼうきゅう効能こうのう
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)