長駆ちょうく)” の例文
そして、敵の朝比奈軍を突きやぶり、松平元康をほうむれば、駿河するが殿の前衛はまったからず、義元の本陣へまでも、長駆ちょうく、迫り得るかと存じまする
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一人でも多く番士をたおしたほうがいいから、源助町の剣をひっぱずして、長駆ちょうく、番士の群へ殺到すると、その気魄きはくの強さにおそれを抱いたものか
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
中堅手がそれを拾うてホームへ投げた、がこのときはすでにおそかった、五大洲とクラモウは長駆ちょうくしてホームへ入り、千三は三塁にすべり込んだ。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
軽巡奴けいじゅんめに御馳走して、マスト飛び、大砲折れサ、ヤンキーが血を見て、いよいよ腰をぬかしているすきに、長駆ちょうく、大航空母艦の上に、五百キロ爆弾のウンコを落とす
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、十二月十三日の決死の渡河とかは成功して、ついに、敵の堅陣をけちらし、十六日には、長駆ちょうく、もう武蔵野の西を駈けつつ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
剣妖けんよう丹下左膳は、乾雲に乗って天をかけ闇黒やみに走って、自分のこの坤竜をいざない去ろうとしている——それに対し、われは白日坤竜を躍らせ、長駆ちょうくして乾雲を呼ぶのだ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
長駆ちょうく、急転回して、一たん徳川勢にうしろを見せ、他に期するものあるが如く、遠く去ってしまったのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三をばらり——ズン! 薙伏なぎふせたかと思うと、怨恨えんこん復讐ふくしゅうにきらめく一眼を源十郎の上に走らせ、長駆ちょうく、地を踏みきって、むらがる十手の中を縁へ向かって疾駆しっくきたった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ときすでに薄暮はくぼであり、夜に入っての城攻めは、兵法の禁もつとされているし、長駆ちょうく、楽田から息もつかずに来た人馬なので、こよいの行動は一時見あわせ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小手をかざして桑名くわなほうをみると、はやくも秀吉の先陣は、ふたたび戦雲をあげて孤城奪取こじょうだっしゅの総攻めにかかり、後陣は鳥雲ちょううんのかたちになって、長駆ちょうく柴田しばたとの迎戦げいせんに引ッかえしてゆく様子——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなら、ただただ敵中を突破しつつ、長駆ちょうく、これまで来たことなので、一時、敗散した東国の足利勢は、そのあとで勢いをもち返し、東海道を追跡して、いまやすぐうしろに迫っていたからである。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、長駆ちょうくして、さらに次の浜名湖はまなこの渡し場へさしていそいだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)