鑑識かんしき)” の例文
みんなは、陶器とうきについて、見分みわけるだけの鑑識かんしきはなかったけれど、そういわれてのぞきますと、さすがに名人めいじんさくだというこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで、さき頃筆者が、山女魚と亜米利加あめりか系鱒を携え日本料理人組合会の最高幹部という仁に示し、その判別を試みたところ、ついに鑑識かんしきを得なかった。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
今日こんにちおいしやうじたからとて、其當時そのたうじの二鑑識かんしきついて、侮辱ぶぢよくすることにはけつしてあたるまいとしんじてる。
いつの世においてもそうであるが、小説の鑑識かんしきにかけては、作家や編集者や批評家よりも、読者の方が一層スマートである。この事実を忘れていてはものわらいになる。
刀試しの日も、居合わせていたといえば、刀の鑑識かんしきもあるに相違ない。訊いてみたいものと思った。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは何も秋山図に、見惚みとれていたばかりではありません。翁には主人が徹頭徹尾てっとうてつび鑑識かんしきうといのを隠したさに、胡乱うろんの言を並べるとしか、受け取れなかったからなのです。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こたえたから、捜査そうさ連中れんちゅう鑑識かんしき連中れんちゅうもあぶなくぷッときだすところだつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
警報をうけて警視庁の大江山おおえやま捜査課長以下は、鑑識かんしき課員を伴って現場げんじょうに急行した。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
堀七郎兵衛の鑑識かんしきが、秀政を肯定させたことも一理由ではあろうが、もっと大きな理由としては、二十一日の明け方まではなお、柴田匠作しょうさく勝家あり、となす彼の存在が、その陣営の上に
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「アーガス博士の鑑識かんしき研究所へやってくれないかね」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)