しゃく)” の例文
大手前おおてまえ土塀どべいすみに、足代板あじろいたの高座に乗った、さいもん語りのデロレン坊主、但し長い頭髪かみのけひたい振分ふりわけ、ごろごろとしゃくを鳴らしつつ、塩辛声しおからごえして
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
吾家にしゃくとどめ給ひてその巻物を披見ひけんせられ、仏前に引摂結縁いんじょうけちえんし給ひてねんごろ読経供養どきょうくようを賜はりしのち、裏庭に在りし大栴檀樹だいせんだんじゅつて其の赤肉せきにくを選み
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「野僧も、思わず月余を、御府内に逗留いたしましたが、近いうちにしゃくめぐらし、大和やまとの柳生へ立ち寄って、石舟斎どのを病床に見まい、泉南から大徳寺へもどるつもりにござります」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帝は滇南てんなんきて西平侯せいへいこうらんとしたもう。史彬しひんこれを危ぶみてとどめ、しんの中の、家いさゝか足りて、旦夕たんせきに備うき者のもとしゃくとどめたまい、緩急移動したまわば不可無かるべしともうす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)