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鉄縁
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てつぶち
ふりがな文庫
“
鉄縁
(
てつぶち
)” の例文
冬子が
注
(
つ
)
いで出す茶を一杯飲んで、忠一は
鉄縁
(
てつぶち
)
の眼鏡を掛け直しながら、今や本論に
入
(
い
)
ろうとする時、
彼
(
か
)
の七兵衛が
襖
(
ふすま
)
から顔を出した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
年はもう五十を越しているのであろう、
鉄縁
(
てつぶち
)
のパンス・ネエをかけた、鶏のように顔の赤い、短い
頬鬚
(
ほおひげ
)
のある
仏蘭西
(
フランス
)
人である。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ズット前から、度が弱くなっていた古い
鉄縁
(
てつぶち
)
の老眼鏡は、ちょうどそこいらに焦点が合うらしく、その
鬚
(
ひげ
)
だらけのルンペンの口元がよくわかった。
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「はい、今日は」といいながら寄って来たのは、
鉄縁
(
てつぶち
)
眼鏡をかけた半白の老人。村役場の
傭書記
(
やといしょき
)
、小学校の理科の先生、——そういった
実体
(
じってい
)
な人物。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
新しく出来た住職は、四十二三位で、延びた五分刈頭、
鉄縁
(
てつぶち
)
の強度の眼鏡、
単衣
(
ひとへ
)
にぐる/\巻いたへこ帯、ちよつと見ては
何
(
ど
)
うしても僧侶とは思へないやうな
風采
(
ふうさい
)
であつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
健三の
這入
(
はい
)
って来るのを見た彼は、すぐ読み懸けの本を伏せて、
鉄縁
(
てつぶち
)
の
眼鏡
(
めがね
)
を外した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その大股にノッシノッシと歩く又野の右側から、チョコチョコと
跟
(
つ
)
いて来る小柄な男は、油差しの戸塚という青年で、
敏捷
(
はしこい
)
らしい眼に
鉄縁
(
てつぶち
)
の近眼鏡をかけている。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ほとんど鈍重な感じを起させるほど、丸々と肥満した野村は、その太い指の先でちょいと大島の襟を直しながら、細い
鉄縁
(
てつぶち
)
の眼鏡越しにのんびりと俊助の顔を見た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
客は
斑白
(
はんぱく
)
の老紳士で、血色のいい両頬には、
聊
(
いささ
)
か西洋人じみた
疎
(
まばら
)
な髯を貯えている。これはつんと尖った鼻の先へ、
鉄縁
(
てつぶち
)
の鼻眼鏡をかけたので、殊にそう云う感じを深くさせた。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
野村は
鉄縁
(
てつぶち
)
の眼鏡を
外
(
はず
)
すと、
刻銘
(
こくめい
)
に
手巾
(
ハンケチ
)
で玉の曇りを拭いながら
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“鉄”で始まる語句
鉄
鉄瓶
鉄漿
鉄槌
鉄砲
鉄棒
鉄扉
鉄格子
鉄鎚
鉄柵