道人どうじん)” の例文
又一異人いじんというべし。魔王のごとく、道人どうじんの如く、策士の如く、詩客しかくの如く、実に袁珙えんこう所謂いわゆる異僧なり。の詠ずるところの雑詩の一にいわ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
道人どうじんは鶴の世話をしている童子を呼んで、それをれて山をおりかけたが、鳥の飛ぶようで追ついて往けなかった。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「真人がいらっしゃるほどなら、ほかのお弟子の道人どうじんたちもたくさんいるのでございましょうな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楽しげに銀鱗ぎんりんひるがえす魚族いろくずどもを見ては、何故なにゆえに我一人かくは心たのしまぬぞと思いびつつ、かれは毎日歩いた。途中でも、目ぼしい道人どうじん修験者しゅげんしゃの類は、あまさずその門をたたくことにしていた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
道人どうじんは薄赤い絹を解いて、香炉こうろの煙に一枚ずつ、中の穴銭あなせんくんじたのち、今度はとこに懸けたじくの前へ、丁寧に円い頭を下げた。軸は狩野派かのうはいたらしい、伏羲文王周公孔子ふくぎぶんおうしゅうこうこうしの四大聖人の画像だった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
応賢の二人は比丘びくと称し、程済は道人どうじんと称して、常に左右に侍し、馮㴶ひょうかく馬二子ばじしと称し、郭節かくせつ雪菴せつあんと称し、宋和そうか雲門僧うんもんそうと称し、趙天泰ちょうてんたい衣葛翁いかつおうと称し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その人びとの間に交って一人の道人どうじんが薬を売り符水ふすいほどこしていた。道人は許宣の顔を見ると驚いて叫んだ。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「真人さま。……今朝、仰っしゃっていたお人が、一せい道人どうじんに連れられて見えました」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こら、こらッ。道人どうじん、どこへ通る?」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)